ご挨拶

第16回日本がん薬剤学会(JSOPP)学術大会

大会長 山口 正和
がん研究会 有明病院 薬剤部 院長補佐・薬剤部長

この度、第16回日本がん薬剤学会学術大会を令和6年6月8日(土)にタイム24ビル(東京都お台場)にて開催する運びとなりました。

国際社会ではダイバーシティ(多様性)が当然の権利として確立されている現在において、がん治療においても患者一人一人が違うことを認識することが必要です。

一方で、医療スタッフの多様性もあることから、今大会のテーマを「つながる心、拡がる未来、多様性が切り開くJSOPPの新展開」とし、患者の多様性とがん医療に携わる若手薬剤師の思いや感性を最大限に取り入れると共にそれぞれの個性を十分に生かした大会となるように実行委員の心を一つにして運営を行って参ります。

2023年3月末に「第4期がん対策基本計画」が閣議決定されました。「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す。」という目標に向け、第4期基本計画でも引き続き「1.がん予防、2.がん医療の充実、3.がんとの共生」の3本柱にて施策が推進されます。第4期基本計画を推進するための必要事項として、7つの項目が掲げられていますが、その一つに「関係者等の連携協力の更なる強化」が上げられています。

新薬の開発、支持療法の進歩などもあり、近年ではがんの薬物治療が外来通院で行われることが当たり前となっています。そこで東京都では、昨年、東京都がん診療連携協議会研修部会薬剤師小委員会、東京都薬剤師会、東京都病院薬剤師会の3団体合同による東京都がん薬物療法協議会を立ち上げ、「東京モデル」と銘打って全国の参考としていただけるような薬薬連携の更なる推進を図りシームレスで高質ながん薬物療法の提供を目指しています。今回の学術大会では、病院、薬局、行政に所属するオール薬剤師で臨む東京都がん薬物療法協議会のシンポジウムを企画いたしましたので、是非、多くの皆様のご参加をお待ちしております。

日本がん薬剤学会は、出来うる限り最良のがん薬物療法を提供することにより、がん患者の生活の質の向上を図ることを目的とし、International Society of Oncology Pharmacy Practitioners (ISOPP)に連携する組織として、最新のがん薬剤学領域の情報を交換する場を提供することにより、がん薬剤学領域における実務家、研究者の資質向上を図ることを目指しています。

今大会が、がん薬物療法の益々の発展と薬薬連携の推進に有意義なものとなるように、そして、多くの皆様の心をつなぎ、未来が拡がることを祈念しております。